100℃でも動作するアンモニアを利用した地熱発電


アンモニアを利用した地熱発電

2010年04月13日

地熱といえば、年中ほとんど温度が変わらないことを利用した地熱冷暖房システムを思い浮かべる向きもあろうかと思うが、あまり一般的ではない。さらに一般的ではないのが、地熱発電だ。これは火山や温泉などで噴出する高温蒸気でタービンを回して発電するもの。日本は火山国だが残念ながら地熱発電の話題はほとんど聞かない。今日の話題はその地熱発電で、低温で動作する地熱発電という優れものだ。読売新聞サイトの4月9日記事「全国初 100度以下の湯利用 松之山温泉で地熱発電研究…新潟」から一部を引用する。

温泉熱を利用したバイナリー地熱発電の可能性を検討してきた(新潟)県は7日、十日町市の松之山温泉で今年度から3年間、独立行政法人産業技術総合研究所などによる実証研究が行われると発表した。
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バイナリー地熱発電は、お湯などで沸点の低いアンモニアなどを熱し、その蒸気でタービンを回して発電する仕組み。二つの媒体を利用することから、英語で「二つの」を意味する「バイナリー」と呼ばれる。

従来の地熱発電は地中の熱蒸気で直接タービンを回す仕組みで、200~300度の高熱が不可欠のうえ、火山の熱泉の蒸気を得るため、地中深く井戸を掘る必要もあった。温泉を使った場合、小規模な蒸気・熱水でも利用が可能。燃料が不要で燃焼による二酸化炭素(CO2)を出さないほか、太陽光発電と違い、夜間の発電もできる。

松之山温泉は十日町市が源泉を所有していて、協力を得やすいことから選ばれた。温泉の湯温は約97度で、発電出力は50キロ・ワット級。年間141トンのCO2が削減される計算になるという。今年度は発電装置を開発し、2011、12年度で実際に発電する。電気の利用方法は今後、検討する。

実証研究は環境省の「地球温暖化対策技術開発等事業」で、年間の事業費は約1億円。装置の開発や実験は、地熱発電の技術を持つ地熱技術開発と、産業技術総合研究所が行う。
...(C)読売新聞

通常の地熱発電には欠点があった。200~300度の高熱が必要で、かつ地中深く井戸を掘る必要がある、と言う点だ。今回実証実験が行われる「バイナリー地熱発電」は、100度以下の温泉で発電ができるシステムだ。このバイナリー地熱発電の原理は、お湯などで沸点の低いアンモニアなどを熱して沸騰させ、その上記でタービンを回して発電する、という仕組みだ。アンモニアは有毒なので、このシステムは閉じた系のはずだ。

そう、アンモニアといえばガス冷蔵庫がある。これを思い出せば原理の想像が付く。ガス冷蔵庫はガスを燃やして内部のアンモニアによるヒートポンプエンジンを動かす原理だ。今回の地熱発電は、このガスの燃焼の代わりが100度以下のお湯。そしてガス化したアンモニアを噴出させそこにタービンを設置して発電させる。そして、ヒートポンプとほとんど同様に、アンモニアを外気で冷やして再び液体に戻す、という仕組みだろう。ちなみにアンモニアは液化しやすく、気温20℃では約8気圧で液化できる。ということで、この新しい地熱発電システムはアンモニアによるヒートポンプ技術の応用だろうと想像できる。

この地熱発電の実証実験には松之山温泉で行われる。この温泉の温度は97度。実証実験の発電出力は50キロワット程度、とのことだ。

自然エネルギーを利用する発電方式は多数存在する。太陽光発電は優れてはいるが何事も多様性が重要だ。今回紹介した地熱発電はもっと着目されて良い技術だ。

 
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