中国の多結晶シリコン生産


中国の多結晶シリコン生産

2009年09月17日

中国のニュースが中心のニュースサイト「レコードチャイナ」の9月12日付記事<太陽光>だまされている?ソーラーシステムは環境破壊の元凶か―香港紙から。

2009年9月11日、環球時報によると、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは10日、中国で最も貧しい省・貴州省の太陽光発電システム工場が、「5年以内に中国・インド・アフリカの1000の貧しい村落に、太陽発電の街灯を導入させる」と宣言しているという。

太陽光発電システムはエコのイメージが定着しているが、北京交通大学で光学技術を研究する簡(ジエン)教授によると、電気容量1000ワット(冷蔵庫が1日に消費する電力)のソーラー板を生産するために10キログラムの多結晶シリコンが必要で、これだけの多結晶シリコンを生産するためには、2トン以上の石炭を消費しなければならないという。2トンの石炭があれば、冷蔵庫を20年間使うだけの電力を発電できる。

同紙によると、先進国の多くの企業が、それが地球温暖化の緩和に貢献すると信じて、太陽光発電システムを次々に導入している。それを受けてここ数年、ソーラー板の需要が大きくなり、既に年間1000億ドルのマーケットになっているという。同紙は、「太陽光発電システムは世界を救うことがないばかりか、大気汚染を促進し、エネルギー消費を増大させている」との厳しい見解に立つ。

現在、中国の多結晶シリコンの生産量は5年前の80倍の年間4000トン、世界一の生産量を誇る。中国政府は、今年の生産量は3万トンに達するとみており、2011年にはその3倍に当たる15万トンに達するとの予測もある。中国メディアの報道によると、少なくとも16の省で33の多結晶シリコン工場の建設が始まっているという。(C)レコードチャイナ、環球時報、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト

この記事の中心の話題の、「太陽光発電はエコでない」説はすでに否定されている説だ。そもそもこの記事の前提がおかしい。「電気容量1000ワット(冷蔵庫が1日に消費する電力)」とあるが、使用電力だから単位はワットではなくワット時のはず。その誤りではないのなら、業務用の1キロワットの大きな冷蔵庫のことか。しかしわざわざ「1日に消費」と書いてあるのたから、ワット時のことと仮定する。すると、1000ワットを24時間で割ると、1時間の使用電力は42ワットほど。とりあえず、この冷蔵庫に対応する太陽光発電パネルは1枚、と仮定する。記事ではその太陽光パネルを作るために10キログラムの多結晶シリコンが必要、とあるが、そんなに必要なはずはない。最近はシリコン結晶の「薄切り」技術も進歩しているからだ。そして10キログラムの多結晶シリコンの生産に2トンの石炭が必要、と記事にはあるが、わざわざ環境への負荷の高い石炭をなぜ持ち出すのか。どうも「結論が先にありき」の論に思えてしまう。

引用記事のほとんどは上記のいいかげんな説だが、最後のセクションは非常に役立つ情報が含まれている。次の情報だ。
(1)現在、中国の多結晶シリコンの生産量は5年前の80倍の年間4000トン、世界一の生産量を誇る。
(2)中国政府は、今年の生産量は3万トンに達するとみており、2011年にはその3倍に当たる15万トンに達するとの予測もある。
中国がシリコン生産の主要な生産国であることは知られているが、生産の急な伸びには驚く。そして2年後には現在の3倍に達する予測もあるとのことで、中国のシリコンに対する強い投資意欲が伺われる。とはいえシリコンを使用しないタイプの太陽電池が実用化され始めている現在を考えると、2年後にシリコンの需要は中国の予測ほどあるのだろうか、少々疑問に思う。

 
QLOOK ANALYTICS