エネルギー基本計画によると原子力発電は「低炭素電源の中核」


エネルギー基本計画と原子力発電

2010年03月21日

このブログの昨日の記事「温室効果ガス25%減には原子力発電所の稼働率88%必要」の続編、とでも言うべき記事だ。3月20日付けの読売新聞サイト記事「原発14基を新増設…エネルギー基本計画原案」から一部を引用する。

2030年までの国のエネルギー政策の指針を定める経済産業省の「エネルギー基本計画」の原案が19日、明らかになった。

原子力発電を「低炭素電源の中核」と位置づけ、30年までに少なくとも14基を新増設し、現在60%台の稼働率を90%に引き上げることなどが柱だ。新車販売はすべて次世代自動車とする目標を掲げるなど、これまでの原油の安定供給確保から、温暖化対策を重視したのが特徴で、政府が検討している地球温暖化対策基本法案の具体化に向けた行程表(ロードマップ)への反映を目指す。

エネルギー基本計画は、エネルギー政策基本法に基づき03年に策定され、3年に1度改定される。24日の総合資源エネルギー調査会基本計画委員会に提示する。
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家庭での温暖化対策としては、高効率の給湯器を全世帯の9割に普及させるほか、照明器具は発光ダイオード(LED)や有機ELなどの高効率照明にすべて置き換える。運輸分野では、自動車の燃費基準を1リットル当たり40キロ・メートル程度に引き上げることで、電気自動車やハイブリッド車など次世代自動車の普及を促進させる。

また、エネルギー消費量のうち自国でまかなえる割合を示すエネルギー自給率も、海外権益分も含め現在の38%から70%に大幅に改善させる。

◆2030年の主な目標(かっこ内は現状)◆
 ◇すべての新車を次世代自動車に。燃費基準を1リットルあたり約40キロに引き上げ
 ◇LEDなど高効率照明の普及率を100%に(1%未満)
 ◇原子力発電は14基を新増設。稼働率を90%に向上(64・7%)
 ◇太陽光、風力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギーの発電全量の買い取り制度実施
 ◇太陽光発電の発電量を2005年の40倍にあたる5300万キロ・ワットに
(C)読売新聞

経済産業省の「エネルギー基本計画」の原案が明らかになった。「エネルギー基本計画」は2030年までの国のエネルギー政策の指針となる計画だ。2030年の主な目標は、引用記事の最後に書かれているとおりだ。

その中で一番重要、かつ議論を呼ぶのは
 ◇原子力発電は14基を新増設。稼働率を90%に向上
という方針だ。基本概念は、原子力発電を「低炭素電源の中核」だ。そして30年までに少なくとも14基を新増設し、現在60%台の稼働率を90%に引き上げるという計画。昨日のブログ記事でも書いたが、低炭素のために環境に多大が悪影響を及ぼす原子力発電が大手を振って復権するのは非常に問題がある。この方針には、電力業界は大喜びだろう。

他の2030年の目標は、当然という目標だ。
 ◇太陽光、風力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギーの発電全量の買い取り制度実施
 ◇太陽光発電の発電量を2005年の40倍にあたる5300万キロ・ワットに
再生可能エネルギーの全量買取はその方向で進んでいる。太陽光発電の目標は充分に達成可能な数字だろう。しかし、原子力発電所を増やさないためには、太陽光発電をさらに増やすだけでは駄目だ。風力、地熱、バイオマスなど、他のあらゆる再生可能エネルギーを推進すべきだ。

また、
 ◇LEDなど高効率照明の普及率を100%に
の目標は充分に実現可能だろう。事実、東芝は白熱電球の生産をもうすぐ停止するそうだ。

それから
 ◇すべての新車を次世代自動車に。燃費基準を1リットルあたり約40キロに引き上げ
の目標は、もうガソリン車、ディーゼル車は販売できない、ということにならざるを得ない。電気自動車の時代はもうすぐそこまで来ているので、この目標も達成できるだろう。

結局のところ、2030年に原子力発電所を14基増やし稼働率を90%にする目標は、充分に達成可能だろうが、それを達成しないでも低炭素社会を実現できる方法を全力で考える必要があると思う。

 
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