ドイツは原発7基を停止したため電力輸入の事態


ドイツの原発停止

2011年05月10日

福島原発事故を受けていち早く原発からの撤退を表明したドイツ事情のレポートだ。毎日新聞サイトの5月9日記事「ドイツ:原発7基停止で、電力輸入国に 「脱原発」先行き不透明」から一部を引用する。

福島第1原発の事故を受けドイツは国内17基の原発のうち7基を暫定的に停止したため、近隣国から電力を輸入する状況になっている。メルケル首相は6月に、原発全廃までの期間などを示す改正原子力法を成立させる構えだが、早期の原発撤退には与党内からも疑問の声が上がっており、「脱原発」先進国の電力事情も先行きは不透明だ。

◇8割依存、仏からも

3月の事故後、ドイツは80年以前から稼働する古い原発7基を暫定的に3カ月停止することを決めた。フランクフルター・アルゲマイネ紙によると、3月前半まで、1時間に平均350万キロワットを外国に輸出していたが、3月17日に7基を停止して以降、逆に平均250万キロワットをフランスやチェコから輸入する事態になった。

連邦ネットワーク庁のクルト長官は、輸入電力が原発で生産されたものかについては明言を避けたが、フランスは電力の約8割を原発に依存しているため、「原発撤退と言いながら、原発大国から輸入」と皮肉る独メディアもある。

一方で環境省担当者は「自力で供給できる量はある。フランスの電力が安いから輸入しているだけ。欧州の自由な電力市場ではよくあること」と述べ、「輸入国転落」を否定する。

こうした状況もあり、ドイツでは連日、生活に直結する電気料金の値上げが議論の的だ。南ドイツ新聞は「(太陽光発電など)原発に代わるエネルギー確保のため、今後10年間で計2000億ユーロ(約24兆円)が必要」と報じた。具体的に、今後は国民1人当たり毎月18ユーロ(約2200円)の出費増になると伝えたメディアもある。

メルケル首相は6月の法改正で早期脱原発に道筋をつける方針だ。しかし、首相の与党キリスト教民主同盟のブフィエ・ヘッセン州首相は「私たちは、原子力に代わる新たな電力源で将来をカバーできるとの印象を簡単に広めるべきでない」と述べるなど、与党内からも早期の脱原発を不安視する声がある。

ドイツは02年に当時のシュレーダー政権が「脱原発」を決め、当初は2022年までに全面停止の予定だった。しかしメルケル政権は昨年、代替エネルギーの普及が進むまで稼働を最長14年間延長することを決定。だが今回の福島の事故を受け、再び早期脱原発にかじを切っていた。(C)毎日新聞

引用記事最後にあるとおり、ドイツは2002年に2022年までの原発全面停止を決定していた。しかしメルケル政権は2010年、温室効果ガス排出問題対応のため原発稼動を延長することを決定していた。そして今回の福島原発事故で脱原発を宣言した。そして先ず、ドイツ国内の17基の原発のうち、古い7基を停止した。ただし停止は3ヶ月の暫定停止である。

この記事で、ドイツ国内には原発は17基しかないことがわかった。翻って地震国日本では、狭い国土に54基の原発が稼動している。そしてその他に、非常に危険なプルトニウムを扱う再処理工場が2つ存在している。

ドイツの話題に戻ると、この7基の停止でドイツは電力の輸入に頼らざるを得ない状況になってしまった。停止以前は電力を輸出していたのに、停止により電力の安いフランスやチェコから輸入している、とか。そのフランスは世界に冠たる原発大国だ。自国の原発停止で原発大国から電力輸入とは情けない。

もちろんメルケル政権は太陽光発電などの自然エネルギー利用電力を促進するつもりだが、結局は電力料金値上げとなってしまう。試算ではドイツ国民1人あたり毎月2,200円の出費増になる、との予想もあるそうだ。この試算の数字の正確さは不明だが、どちらにしても負担増は確かだろう。

この試算は原発による電力が安上がりという結果だが、果たしてそうだろうか。原発は設計された数十年の稼動が終了すると、停止・廃炉となる。そしてその原発のあった土地の放射能数値が元に戻るまでに、さらに数十年かかる。これは正常に停止しての話だ。ここまでの経費を考えると、果たして原発は安いのだろうか。そしていったん事故が発生すれば、チェルノブイリを見ればわかるとおりその土地に人が再び住めるようになるまでに数百年かかるのだ。

これを考えると、また今回の事故で明らかなとおり人類には原子力をコントロールする能力は無いのだから、ドイツが脱原発を決定したことは正しいし、高く評価する。そして他の電力のための負担増はやむを得ないだろう。そしてもうひとつ考えなければならないことは、人類はいままでのエネルギー浪費社会を見直す必要がある、ということだ。

 
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