日本のスマートグリッド事情


日本のスマートグリッド事情

2009年11月16日

このブログの10月29日記事「米国のスマートグリッド整備予算」で、米国のスマートグリッド関連予算は単年度で34億ドル(約3100億円)であることを書いた。今日は日本のスマートグリッドの話題だ。毎日新聞サイト11月15日記事「エコナビ2009:スマートグリッド 本格導入へ始動」から一部を引用する。

米政府は、2月に実施を決めた総額7872億ドル(約70兆円)の大型景気対策に、スマートグリッド向け予算130億ドル(約1兆1700億円)を計上。「100年前の技術が使われ、多大なエネルギーとコストの無駄になっている」(オバマ大統領)と老朽化した送電網の整備に投資を振り向ける方針を決め、既に実施段階に入っている。

ただ、米政府がスマートグリッドで狙うのは、単なる送電網の整備だけではない。最新の送電網と発電所に全米の各家庭を結合することで、省エネ、コスト削減はもちろん、新たな産業育成と雇用創出を狙っている。

具体的には、(1)各家庭の家電製品をネットワーク化(2)パソコンなどで自宅の電力需要を分刻みで把握(3)料金の安い時間帯に電力を購入し、自宅の電池に蓄電(4)プラグインハイブリッド車の電池を活用することでエネルギー効率を高める--など、近未来の省エネ家庭の中軸をスマートグリッドが担うことを想定している。(C)毎日新聞

10月29日に引用した時事通信社の記事では、米国のスマートグリッド予算は34億ドルとあったが、全然違うようだ。今日の引用記事によれば、スマートグリッド向け予算は130億ドル(約1兆1700億円)。約4倍だ。なぜこんなに違うのか知りたいところだが、予算のどこまでをスマートグリッド向けとするかでかなり数値が異なるのかもしれない。

予算の額はともかく、米国のスマートグリッドの目指す技術は次のとおりだそうだ。
(1)各家庭の家電製品をネットワーク化
(2)パソコンなどで自宅の電力需要を分刻みで把握
(3)料金の安い時間帯に電力を購入し、自宅の電池に蓄電
(4)プラグインハイブリッド車の電池を活用することでエネルギー効率を高める

ただ、米国は送電網が100年前の技術ということで送電網そのものを新しくすることが求められている。予算のかなりの部分はそちらに使われることを考えると、この(1)~(4)の開発には想像よりは少ない予算額になる可能性がある。

この毎日新聞記事の後半は次のとおり、日本の状況だ。

◇太陽光発電に必須 費用6兆円

日本のスマートグリッドは、太陽光発電の拡大に備えた送配電システムを作る意味が最も大きい。日本では、停電範囲を最小限に抑える仕組みや大規模工場の電力需要などを把握するために既にITが使われており、送電網の老朽化による停電対策が急務の米国とは、事情が異なるためだ。

日本政府は今年4月、太陽光発電を20年に05年比約20倍の2800万キロワット、30年に約40倍の5300万キロワットに拡大する目標を掲げた。実現すれば、国内の原子力発電の設備容量(4800万キロワット)をしのぐ規模になる。

しかし、天候条件で発電量が大きく変わる太陽光発電を大量に電力系統に接続すると、電力需給がうまく調整できず、停電する可能性がある。安定供給には、大型蓄電池を設置して送電量を一定にしたり、各地の太陽光発電設備の出力調整などが必要で、スマートグリッドが必須になる。経済産業省は7月、30年までの対策費用として最大6・7兆円がかかるとの報告をまとめ、「料金負担や公的支援のあり方を検討すべきだ」と指摘した。

日本政府は今夏から、宮古島など沖縄、鹿児島両県の離島10カ所で、太陽光や風力発電を既存の送電網に接続したスマートグリッドを構築し、影響や経済性などを調べる3年間の実証実験を開始。来年には日米共同で、米ニューメキシコ州で太陽光発電や蓄電池、IT家電などを組み合わせた「スマートグリッドハウス」の実験にも取り組む予定だ。首脳会談ではこれらの実験成果を共有することなどに合意した。今後、新技術やシステムの国際標準化で日米が世界をリードできるかどうかが注目される。(C)毎日新聞

日本では、2030年までにスマートグリッド費用として最大6兆7千億円が必要、との経済産業省の試算だ。米国の1兆1700億円は大型景気対策中のスマートグリッド予算なので土俵が違いすぎ、金額の直接の比較は無意味だ。

しかし、送電網が老朽化し再構築が急務の米国と、送電網が既にIT化されている日本では日本が有利だ。またスマートグリッドの目的も米国とは少々異なるようだ。米国は前記4項目が目指す技術だが、日本では、発電量が不安定な太陽光発電に対応するためのスマートグリッド、という側面が大きい。このスマートグリッドがないと、このブログでも何回か書いているとおり、太陽光発電に多くを頼る時代になると天候の急変で太陽光発電の急減が発生し停電を起こしかねない。それに対応する技術が日本におけるスマートグリッドなのだ。政府は2030年に太陽光発電を5300万キロワットまで拡大する政策で、それは原子力発電を超える規模とか。私は米国の目指す4項目の技術よりは、日本のITによる電力制御がメインのスマートグリッド技術のほうが先ずは重要と考えている。この日本におけるスマートグリッド技術には注視して行かなければならない。

 
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