二酸化炭素と水からメタノールを製造する技術確立


二酸化炭素と水からメタノール

2010年05月02日

毎日新聞サイト大分版の5月1日記事「二酸化炭素と水からメタノール モデルは植物の光合成 /大分」から。

地球温暖化の原因となっている二酸化炭素(温室効果ガス)をいかにして減らすか。「二酸化炭素を減らしながら、燃料(メタノール)も作り、太陽光発電とも組み合わせる」という研究に取り組んでいるのが、大分大工学部の天尾豊准教授(41)だ。
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二酸化炭素排出の大きな要因となっている自動車。ガソリンの代替燃料の一つがメタノールだが、メタノールを燃やしても二酸化炭素と水が出る。天尾准教授はその逆を考えた。「二酸化炭素と水からメタノールが作れないか」

モデルとなったのは植物の光合成だ。植物は二酸化炭素と水から、葉に光があたることによって、ブドウ糖と酸素を作っている。ブドウ糖をメタノールに置き換えようと考えた。

「植物の仕組みは複雑で良くできている。そう簡単にいかなかった」と天尾准教授。植物は光合成を行うとき、酵素(触媒)の助けを借りている。5年前、炭酸水に光をあて、酵素を使ってメタノールをつくることには成功した。しかし、酵素入りの炭酸水を毎回入れ替える必要があり効率が悪かった。

天尾准教授は、酵素を人工的に板に固定し、光をあて、板の上を二酸化炭素と水が通過するとメタノールができる仕組みを今年2月、完成させた。さらに今、太陽光発電で出る電子をメタノール製造に使い、メタノール製造と太陽光発電を組み合わせる研究に取り組んでいる。

この研究が実現すれば将来、二酸化炭素からできたメタノールと、太陽光発電で走る車ができるかもしれない。

「人工物の機能には限りがある。生物の機能と光で二酸化炭素を減らすことができれば」と天尾准教授。温室効果ガスを20年までに90年比で25%削減しなければならない日本。この研究が起爆剤となるか。(C)毎日新聞

大分大のこの研究は実にユニークだ。二酸化炭素と水からメタノールを作ってしまうのだ。モデルは植物の光合成で、光合成と似た仕組みでメタノールを作る。適切な触媒を探すのが大変だったと想像できる。最終的には、触媒を板に固定し、光を照射しながら二酸化炭素と水を板の上を通すと、メタノールが生成される、という仕組みだ。

この仕組みが工業化されれば、二酸化炭素削減に大きな効果がある。メタノールを燃焼させると二酸化炭素と水が発生するが、もしメタノールが化石燃料由来ではなく植物由来の場合は、この二酸化炭素は温暖化ガスのカウント外になっていた。しかし燃やせば由来がどうあっても二酸化炭素は出るものは出る。なので、空気中の二酸化炭素でメタノールを生成できれば、二酸化炭素は収支ゼロとなるのだ。実にすばらしい研究だ。

この研究はいまはさらに次の段階となり、太陽光発電の電子をこのメタノール製造に使う研究とのことだ。

今後の車は電気自動車と言われている。しかしそのエネルギー源の電力の確保のために原子力発電に頼ることになれば何のためのエコカーかわからない。今回記事のメタノール製造方法によるメタノールによるメタノール車なら、本当のエコが実現できる。電気自動車ばかりに目を向ける必要はなく、本質的に何がエコなのかを充分に考える必要がある。

 
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