変換効率の優れた有機太陽電池を東京大学が開発


変換効率の優れた有機太陽電池

2010年02月05日

今日は有機太陽電池の話題だ。このブログの昨年10月26日記事「太陽光発電によるトラック冷房と有機太陽電池」で、三菱化学が開発中の有機太陽電池について書いた。その中で、開発責任者の「2010年には有機太陽電池の変換効率7%程度の試作品を発表したい、また最終的には20%以上の変換効率を目指したい」という発言を紹介した。また当ブログ11月4日記事「米国の太陽電池市場調査」で、米国の太陽光発電ベンチャー企業では有機太陽電池を採用している企業の多いことを書いた。今日ご紹介するのは、大変古くて恐縮だが昨年11月3日の東京新聞記事「新太陽電池は剣山構造 東大 低コストの製造法開発」。

低コストの太陽電池づくりに突破口が開けそうだ。東京大の中村栄一教授らのチームが、フラーレンなどの有機物を材料にした新しい製造方法を開発した。生け花の「剣山」のような形に材料を結晶させるのがポイントという。米国化学会誌オンライン版に成果を発表した。

開発したのは、小さな有機物の分子を電極に塗って太陽電池をつくる方法。印刷のようにできてコストが大幅に下がる。

使う有機物はテトラベンゾポルフィリン(BP)とフラーレンの化合物(SIMEF)。この二種を基板に塗って加熱すると、BPとSIMEFが互いに針のように入り組んで結晶した美しい構造が出来上がった。その形から「剣山構造」と名付けられた。太陽光を電気に変える変換効率も5・2%と、まずまず。

中村教授は「電子を与えるBPと、電子を受け取るSIMEFが剣山のように規則的に入り組んでいるので電子を効率よく取り出せる」とみる。
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きれいな剣山構造ができるのは、現在は太陽電池の面積の半分程度。グループでは「塗布法を工夫してBPを均一にすれば全面に剣山構造ができ、効率は10%程度に上がる」と期待する。

太陽電池の材料はシリコンが主流。その変換効率は15%前後と高いが製造コストも高い。二十年以上も前から別の材料が研究されているが、なかなか対抗馬が出ない。有機物を使えば薄くて柔らかな太陽電池ができ、弱い光でも使えるため、シリコンでは考えられなかった用途が開ける可能性もある。(C)東京新聞

有機太陽電池は有機物を塗布して作るため最終的に印刷技術を応用でき、大変廉価に太陽電池を作ることが出来るようになる。しかし欠点は変換効率の低さだ。先のブログで紹介したように、最先端企業でも2010年の目標が変換効率7%なのだ。

今回東京大学の研究グループが開発した有機太陽電池は、変換効率は5.2%。他太陽電池に比べればあまり高くはないが、塗布方法を工夫することで10%までは行けそう、とのことだ。

この新らしい有機太陽電池は、2つの有機物の化合物を使用している。2つの物質を基板に塗って加熱すると2物質が互いに入り組んだ剣山のような規則正しい形となる。このためいままでの有機太陽電池より変換効率の高いものとなった。

現在主流のシリコン系太陽電池の変換効率は15~20%程度なので、有機太陽電池が10数%まで変換効率が上がれば、充分に使えるレベルになる。なにせシリコン系太陽電池よりは圧倒的に安く製造できるので少々変換効率が低くても問題ない。もちろん狭い面積である出力を求められればシリコン系にならざるを得ないが、そうでない場合は変換効率が10数%まであれば圧倒的に安い有機太陽電池が有利であることは当然だ。

世の流れは、シリコン系は高価なシリコンを大量に使用しない薄膜系になっている。また次世代型太陽電池もいろいろ開発され、一部は実用に供されている。しかし引用記事にあるように、抜きん出た性能・価格の次世代型はまだない。かつほとんどの次世代型太陽電池は、日本には無い希少金属を使うものがほとんど。となると、資源の無い日本としてはこのような有機太陽電池は是非開発を進めなければならない太陽電池、といえる。

 
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