三洋電機の高変換効率の新太陽電池の量産化見通し


三洋電機の高変換効率の新太陽電池の量産化見通し

2009年12月02日

このブログの9月21日記事「三洋電機の超薄型・高変換効率の新太陽電池」で、三洋電機が開発した高い変換効率の薄膜型太陽電池について書いた。この新型太陽電池は、三洋電機の誇るHTI太陽電池に迫る変換効率で、かつ厚さも従来型の半分以下の0.1mm程度、が特徴だ。今日はその続編となる話題だ。産経新聞サイト11月22日記事「変換効率世界最高レベル、三洋電機が超薄型太陽電池セルを23年にも量産へ」によるとつぎのとおりだ。

三洋電機は21日、同社が開発した太陽電池の基幹部品のセルで、世界最高レベルの変換効率(光エネルギーを電力に変える効率)を持つ超薄型製品を平成23年初めにも量産化し、一般住宅用に販売する方針を明らかにした。太陽電池の国内メーカーは海外勢との価格競争にさらされており、量産化を早めることでコスト削減を急ぐ。

同社が現在、単結晶シリコンと薄膜を組み合わせた「HIT太陽電池」のセルで、住宅用に販売しているものの変換効率は国内最高の19・7%。9月に、22・8%を従来の半分以下の厚さ0・098ミリのセルで実現したと発表したが、量産化については「未定」としていた。

しかし、太陽電池は中国、ドイツなど海外メーカーが相次ぎ新規参入し、低価格製品を展開。三洋のHIT太陽電池は高性能な半面、価格面で高めなことが販路拡大の足を引っ張っており、同社は設置面積あたりの発電量の高さをアピールするが、価格競争力でも対応を迫られている。

HIT太陽電池のセル製造にかかる費用は総コストの約50%を占めるため、三洋は薄型化により性能を維持しながら経費削減を進め、量産化したい考え。同社は今月17日、セルの生産能力(出力換算)を27年度に21年度比4倍以上の150万キロワットに引き上げることを柱とする事業戦略を発表。急拡大する太陽電池市場で攻勢をかけ、世界市場でトップ3(生産量で20年は11位)入りを目指すという。(C)産経新聞

9月の当ブログで書いた新型高性能太陽電池の量産化が23年の予定、という記事だ。通常の新聞で23年と書くとそれは2023年のことであることが普通だ。しかし右翼の産経新聞だけあって、これは平成23年のことのようだ。そして経済の産経新聞だけあって、三洋電機がこの新型太陽電池の量産化を急がなければならない事情の説明は詳しい。

技術開発力に優れた三洋電機、そのHIT太陽電池は商用製品としては最高の変換効率を持つ。しかし価格が高いのが欠点だ。いくら変換効率が高くても、海外メーカーの低価格戦略と戦うのは不利。そこで高性能かつ廉価な太陽電池の量産化が勝ち残りのためには必須条件となった、というわけだ。

HIT太陽電池は、単結晶シリコンとアモルファスシリコンを組み合わせた太陽電池だ。単結晶シリコンはシリコン使用量が多く、薄膜シリコンへの移行は世界的な流れだ。また効率は良いが高価な単結晶シリコンから効率は下がるがより安い多結晶シリコンへの移行も世界的な流れだ。三洋電機の新高性能太陽電池はこれらの潮流に乗っていながら高性能の変換効率を持つ製品、と言えるだろう。

9月の当ブログ記事では、この新型太陽電池は三洋電機と新日本石油が共同出資して設立した会社の共同開発製品か、と憶測したが、そうともいえないようだ。ただこれがHIT太陽電池と言えるかどうかは疑問だ。

その共同出資設立会社は「三洋ENEOSソーラー(株)」という名称で、今年(2009年)1月設立の会社だ。両社がちょうど50%づつ出資している。その会社の事業内容ページに、三洋ENEOSソーラーが製造しようとしている太陽電池について述べられている。それは、アモルファスシリコンと微結晶シリコンを積層した「薄膜微結晶シリコンタンデム太陽電池」とのことだ。微結晶シリコンとはあまりなじみの無い言葉だが、想像では、シリコンの微粒子をなんらかの方法で結晶化させ結晶の方向を揃えたもの、のように思う。これなら高価なシリコン材料を有効に使用でき、太陽電池の単価も下がる。この太陽電池の技術と、上記の三洋電機の新太陽電池は同じものか、類似のものか、同じルーツを持つ太陽電池であることは間違い無い。

このような製品こそ、日本の太陽電池メーカーの生き残る道だ。廉価な多結晶薄膜型は中国のメーカーに任せておけば良い。

 
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