太陽光発電システム設置が急に拡大すると


太陽光発電システム設置が急に拡大すると

2009年11月03日

昨日の当ブログ記事太陽光発電の全量買取制度の朝日新聞サイトの引用記事最後につぎのように書かれていた。

余剰電力の買い取りは、7月に成立した「エネルギー供給構造高度化法」に基づく。同法には施行2年後の見直し規定があるが、全量買い取りを電力会社に義務づけるには新たな措置が必要だ。新たな国民負担への理解とともに、天候によって発電量が変わるなどの課題もあり、来年度に導入が間に合わない可能性もある。(C)朝日新聞

この記事には詳説されていない「天候によって発電量が変わるなどの課題もあり」について解説する。

昨日記事の全量買取制度が来年度から発足し、太陽光発電システムの設置が急速に進展すると、きちんとした環境整備が無いと次のような事態が考えられる。

「電力の5割以上を太陽光発電に頼る某年8月某日の首都圏、最高気温は35度を超え電力消費量もピーク。そのとき東京地方に強い雷雲が発生し日照ゼロとなる。太陽光発電による発電量が激減するため、隣接地域から東京地方へ電力の融通が必要。しかし隣接地域も雷雲で日照が減ったため自地域の電力をまかなうのがやっとで他地域に電力を融通する余裕はない。その隣接地域も同様。結局、東京地方は停電の事態となった。」

このような事態を避けるには、インターネットのようにルートを自律的に判断し様々なルートから電力を融通しあう、スマートグリッドという送電網の設置が必須なのだ。日本の送電網は古い設備が主体の米国よりはずっと「スマート」だが、ある地域の急激な発電量減少にどれだけ耐えられるだろうか。

つまり、太陽光発電システムの設置を急速に進めるだけではリスクがあり、送電網のインフラをしっかり構築することが前提なのだ。そしてこれこそ、電力会社の責任のみならず、政治の為すべき責任なのだ。

もうひとつ、太陽光発電システムが急速に進展ことに対する別の懸念もある。それは「電気の質」だ。電圧もさることながら、心配は周波数と位相。太陽光発電システム装置の異常で、周波数や位相がずれてしまうことがあり得る。すると、そのシステムの隣家に流れ込む電気は、正常な周波数と位相の正弦波ではなく、正弦波の周りにゴミの付いた「正弦波もどき」になってしまう。すると、その隣家のさまざまな電気製品で誤動作の発生する恐れがある。医療施設にノイズの多い電流が流れ込めば、医療事故の可能性すらある。

現在は太陽光発電システムがそれほど普及していないのでこのような可能性は少ない。しかし急速に普及すると、このような事態への対応を考えておかなければならない。その手立ては2つ。一つは、太陽光発電システムから電力系統への入り口に、チェックゲート装置を設け、異常を見つけたら遮断する。もう一つは、各家庭に蓄電池+インバーター、または類似装置を儲け、商用電力を直接は使用しないようにすること、だ。世の中には家庭内電力線を利用したLANシステムも販売され始めている。このLANシステムでも商用電力の波形は乱れている。今後は、商用電力の質は落ちるものと消費者は考えたほうが良いかもしれない。それはさておき、太陽光発電設置の急速な進展の前にはやるべきことが多い、ということだ。国が税金を大量に投入しないのなら、環境を整備しながらほどほどのスピードで太陽光発電設置を進めるほうが得策、と思える。

 
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