太陽光発電によるトラック冷房と有機太陽電池


太陽光発電によるトラック冷房と有機太陽電池

2009年10月26日

朝日新聞サイト10月25日の記事「太陽電池で車内冷房 三菱化学開発、CO2削減」から。

三菱化学は22日、太陽光発電でトラックの運転室を冷やすシステムを開発し、試作車を公開した。エンジンのアイドリングを止めることで大型トラック1台あたりの燃費は最大で8%改善し、二酸化炭素(CO2)排出量も平均で年間約1トン減らせるという。12年にトラックメーカーなどにシステムを販売する。

冷房装置を動かせる電力を確保できるのは、太陽が出ている日中に限られる。将来は暖房装置にも使う考えだ。

試作車は荷台上面(20平方メートル)に、住宅向けに普及している従来型の太陽電池7.5平方メートルと、新型の薄膜太陽電池6.7平方メートルを搭載した。

従来型は発電効率は良いが、電池をガラスなどで覆うため重い。薄膜型は軽いが、発電効率が低い。そこで、ガラスなどの代わりに特殊な膜を使い従来型を軽くする一方、割安で将来的には大幅に軽くできる可能性がある薄膜型を組み合わせた。

システムは300万円かかったが、15年には50万円に下げる考えだ。試作車は他社製の電池を使ったが、同年には自社開発の安価な有機太陽電池も加えて併用する方針。 (C)朝日新聞

これは面白いアイデアだ。トラックの屋根に太陽電池を積み、運転席の冷房の電力にする、というシステムだ。トラックの屋根は意外に広い。20平方メートルあるそうだ。今回の試作車はそのうちの14平方メートルに2種類の太陽電池を積んだそうだ。このシステムによる効果は、エンジンのアイドリングを止めることにより大型トラック1台あたりの燃費を最大で8%改善できる、とのこと。また、二酸化炭素CO2排出量も、年間約1トンも減らせる、とのことだ。

通常のシリコン型太陽電池による太陽光パネルは重い。それでは燃費に悪影響を及ぼすので、軽量化の工夫が必要になる。今回は、表面のガラスの代わりに特殊な膜を使用して従来型太陽光パネルを軽量化したそうだ。

なお、このシステムを開発した三菱化学は、未来型太陽電池である有機太陽電池を鋭意開発中のメーカーだ。大変古い記事だが「「有機太陽電池に参入,2010年に効率7%の試作品,2015年に同15%で量産へ」,三菱化学の責任者に聞いた」によると、

2010年ごろに,有機太陽電池の試作品を披露します。そのときの変換効率は,できれば7%を目指したいですね。ロール・ツー・ロールでの製造が可能なことを示すために,長さ3m程度を狙います。こうした技術を発展させて,2015年までには量産のメドを立てます。量産時はタンデム構造などの採用により変換効率を15%に,さらに将来はナノ材料などを使って20%以上の変換効率を目指します。
...
有機太陽電池を選んだのは,「軽くて薄くて曲がる」という特性を持つとともに,ロール・ツー・ロールで安価に大量生産が可能だからです。われわれは,フィルムの事業を手掛けており,そこで培ったもの作りの技術を生かせば勝算があると考えました。
...(C)日経BP

来年登場予定の有機太陽電池試作品の変換効率は7%程度だが、最終的には20%以上を目指しているそうだ。現在のもっとも優れた結晶シリコン型太陽電池の変換効率が20%ちょっとなので、それを有機太陽電池で実現することはすばらしい。

そして三菱化学は、この有機太陽電池をトラック屋根太陽電池として使用する計画だ。有機太陽電池が軽くて曲がることなどから、トラックの屋根だけではなく側面にも取り付けることだろう。それなら設置面積が増えるので変換効率が少々低くても大丈夫だ。

三菱化学には今後、このトラック冷房用太陽光発電システムもさることながら、この有機太陽電池の分野で注目してゆきたい。

 
QLOOK ANALYTICS