シャープは太陽電池の生産を見直す


シャープの太陽電池の再編

2012年02月22日

朝日新聞サイトの2月21日記事「シャープ、太陽電池の生産再編-輸出用は海外委託」から一部を引用する。

シャープは太陽電池事業を再構築する。葛城工場(奈良県葛城市)では年産能力160メガワットの薄膜太陽電池の生産を当面停止し、同550メガワットの結晶系太陽電池のラインは減産。堺工場(堺市堺区)に生産を集中する。さらに海外市場向けの結晶系太陽電池は、中国、韓国、台湾メーカーからのODM(相手先ブランドによる設計・製造)調達に切り替える。シャープの太陽電池事業は海外メーカーとの価格競争や円高で採算が悪化しており、国内の生産体制見直しや輸出の実質停止などでてこ入れし、2012年度の黒字化を目指す。
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薄膜太陽電池は主に海外の大規模太陽光発電所(メガソーラー)での需要を見込んでおり、イタリアの合弁工場を世界の輸出拠点に位置づける。一方、結晶系では国内市場を中心に受光面に電極のないバックコンタクト(電極裏面接続)構造を採用した高効率単結晶太陽電池モジュールなどの販売を強化するほか、再生可能エネルギー全量固定価格買い取り制度開始に伴い拡大が見込まれる公共・産業用の需要を取り込む。

また、10年に買収した米国の太陽光発電開発事業者のリカレント・エナジー(カリフォルニア州)と世界規模で連携しメガソーラー案件の獲得を急ぐ。シャープの11年度の太陽電池事業の販売量は前年度比11・4%減の1100メガワット、売上高は前年度比24・7%減の2000億円、営業損益は240億円の赤字を見込んでいる。(C)朝日新聞

世界に冠たる太陽電池メーカーのシャープが、太陽電池事業の再構築を余儀なくされている。大きな原因は、円高と、中国・韓国・台湾などのメーカーとの価格競争のようだ。なにせ、2011年度の営業損益は240億円の赤字というから、大変な苦境だ。

シャープの太陽電池といえば単結晶シリコン型をすぐに思い浮かべるが、同社はそれだけではなく、多結晶シリコン型やシリコン薄膜型の太陽電池も生産している。その薄膜タイプを生産している奈良県の工場で、同タイプの生産を中止し、結晶系も原産する、とのことだ。さらに、海外向けの結晶系は、OEMに切り替える、とのことだ。OEMなら海外への技術移転は無いことは結構だが、買う立場としてはシャープを買ったつもりが東南アジアの安いメーカー製、ということになり、いかがなものだろうか。

薄膜型の太陽電池は変換効率がかなり低いので、太陽光パネルの設置場所を広く確保できる、海外のメガソーラー向けの需要を見込んでおり、同タイプはイタリアの合弁工場での生産で世界に輸出する予定だ。

もちろん日本国内生産は、高性能な太陽電池に絞る。シャープは、中心に受光面に電極のないバックコンタクト(電極裏面接続)構造を採用した高効率単結晶太陽電池がウリだ。電極が表に無いことで太陽光を受ける面積が広がり、発電効率のアップに繋がる。このバックコンタクト技術が開発されたのは古く、2005年のシャープの論文「高効率シリコン裏面電極型太陽電池」に報告されている。そしてこの技術の製品が出現したのは、「シャープ、堺工場で新型単結晶太陽電池の量産を開始」に書かれているとおり、2010年度だ。技術を開発してから量産体制に入るまで、5年を要するものらしい。

このバックコンタクトの太陽電池については、同社のホームページ「高効率単結晶シリーズ誕生」に書かれている。この技術で単位面積当たりの受光量を増やすだけでなく、送電ロスを増やす技術、低反射ガラスでやはり受光量を増やす工夫なので、効率がかなり高く、より少ない面積(1枚1.3平方メートル程度の太陽光パネル)で出力約0.21キロワットを確保している。シャープらしい、オーソドックスな手法の製品と思う。

 
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