地中熱を利用した冷暖房


地中熱を利用した冷暖房

2009年12月22日

このところ風力発電の話題が続いたが、今日は他の自然エネルギー、地中熱の話題だ。12月21日付の朝日新聞サイト記事「足元の地中熱を活用しよう 冬は暖房 夏は冷房」から一部を引用する。

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地中の温度は深さ五メートル以下なら、年間を通して一五度程度。夏は気温より涼しく、冬は気温より暖かい。その温度差を地上で活用すれば、エアコンなど冷暖房機器の負担が減り、消費エネルギーを抑えられるというのが、地中熱を利用した省エネ技術の基本的な考えだ。

地中熱の一般的な活用方法は、エアコンの心臓部に当たる「ヒートポンプ(HP)」との連携。地中に埋設した配管内で循環する不凍液を介し、地中と熱交換する。具体的には、暖房時の冬は地中から熱を受け取り、冷房時の夏は熱を地中へと送り出す。...

地中熱の有効利用に関心を持つ建築や環境、エネルギーなどの関連事業者でつくるNPO法人「地中熱利用促進協会」(東京)によると、空気熱を利用する通常のエアコンより電力消費が三割程度抑えられる。

二〇〇七年に建てられた島津さん宅も同じシステム。自宅の基礎を兼ねて五~七メートルの深さまで垂直に埋めた筒状のくい約四十本の中に、延長約三百六十メートルの樹脂製配管を挿入。その配管内で不凍液が循環し、熱交換を行っている。

地中熱の利点は多い。必要なシステムは地面さえあれば原則的に設置でき、埋設してしまうため、その後の維持管理の手間もごくわずか。太陽光発電と違い、天候や昼夜の影響も受けない。冷房時に出る排熱は地中に送るため、通常のエアコンのような室外機はなく、ヒートアイランドの原因をつくらない。

しかし、国内での地中熱の利用は、一定の支持を得ている海外と比べてさっぱりだ。
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主な原因は高額な設置費用にある。国土が急峻(しゅん)な日本では、平野部の堆積(たいせき)層が複雑なため掘削費がかさみやすい。新築時にHP連携型を導入する場合だと、機器や設置の費用は二百七十万円程度。普及が進まないため、スケールメリットが働かず、コストは高いまま。手が届きにくいため、関心も高まらない。そんな悪循環を断ち切れないでいる。
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先進環境技術の効果を第三者が実証実験する環境省の事業で本年度、地中熱がヒートアイランド対策技術の分野で実験対象になるなど、追い風も吹いてきた。

東京都内で建設が進み、完成すれば世界一高い六百三十四メートルの自立電波塔となる東京スカイツリーに地中熱利用の冷暖房システムが導入されることも決まり、同協会は知名度向上への弾みにと期待を寄せる。(C)朝日新聞

我家は引越しを画策中だが、次の家は断熱を良くしたうえで全館冷暖房にしたい、と思っている。飼っている動物が全部の部屋を自由に行けるようにしたい、が主な動機だが。その全館冷暖房を実現する際に着目していた技術が地中熱だった。地中熱を利用した冷暖房システムは欧米では盛んだが日本ではほとんど知られていない。

さて、地中の温度は地下5メートル以下なら一年中15度と安定している。夏は涼しく、冬は気温よりは高い温度だ。この地下温度と地表温度の温度差を利用し、エアコンのヒートポンプを接続したシステムが地中熱ヒートポンプ連携システムだ。エアコンの室外機が地中にある、というイメージだ。

このシステム、工事は大掛かりになる。引用記事中のお宅では、5~7メートルの深さまでに垂直に約40本の杭を埋め、そこに延長360メートルの樹脂製配管を挿入し、その管内を不凍液が循環する。この掘削作業に費用がかさむ欠点がある。記事によれば、新築時に設置するときの費用は、機器と設置費用合わせて270万円程度。これは太陽光発電システムの4キロワットシステムくらいに相当する設置費用だ。このシステムを導入すると電気代が3割程度節約できるそうだ。しかし普及が進まないのは、「普及が進まない、スケールメリットが働かないのでコストは高いまま、従って普及しない」の悪循環に陥っているせいだ。

しかしこの地中熱利用システムは、環境省の事業で地中熱がヒートアイランド対策技術の分野で実験対象になる等、少しづつ着目されつつあるようだ。

そもそも私がこの技術を知ったのは数年前。朝日新聞サイトの2007年7月25日記事の地中熱冷暖房システムで省エネだ。朝日新聞サイトの記事は数ヶ月で見られなくなるがこの記事はまだ閲覧できる。記事中にシステム概観図もある。こちらの記事では、カナダの北極圏のマニトバ州にこのシステムを設置した話題だ。マニトバ州は冬は氷点下30度まで下がる日もある土地で、地中温度は5m以下で6~7度と、日本の15度程度とはだいぶ低い。それでもこのシステムは有効に働いている。真冬でも室内は20度前後に保たれているそうだ。夏場はパイプ内の液体を循環させるだけでほとんどタダで冷房できるそうだが、これはさすがに北極圏ならではだ。このシステムが普及しているカナダでは設置費用は安いようで、記事には100万円程度とあった。そしてこのシステムを導入すると電気代の50~70%を節約できるので5~7年で元が取れる、とか。普及が進めばこのレベルの価格になるのだ。

このシステムが日本でも普及することを願っている。

 
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